デザイナーの市川です。
たまには趣味のことばかりじゃなく、仕事に絡めたことでも書こうかと思います。
大抵のグラフィック、Webデザインにはテキストという要素が入りますよね。
自分で原稿を書くということはそれほどないのですが、いただいた原稿で時々気になるのが、この表記は漢字が正しいのか、ひらがな表記が正しいのか。
☆
よくあるのは、「ください」と「下さい」ですね。
自分としては、「下さい」は当て字のひとつかと思ってひらがな表記にしていましたが、今回調べてみたら違っていました。
公益社団法人 日本広報協会のサイトにある、
「下さい」と「ください」の使い分け(広報Q&A)によると、
漢字を使う場合は、「飲み物をクダさい」といった実質動詞
仮名書きにする場合は、「お飲みクダさい」といった補助動詞
といった使い分けがあるとのことです。
「ください」と「下さい」に関しては、北海道(の官庁)のサイトにも書かれていました。
こちらは公用文に関しての用語用法について多く書かれていますが、一般的なテキストにも通じることもあり参考になりました。
☆
また、山内総合研究所のサイトにある「ひらがな書きが適当な語」の例は、一覧表になっていて数多く掲載されています。
「全て」は当て字だからひらがな表記の「すべて」だ、と思っていたのですが、
常用漢字表平成22年の改定によって採録された漢字または音訓だが、漢字書きが十分に定着するまでひらがな表記を薦める語
とのことです。
調べてみるとそれなりの理由があるものです。
☆
そういうことなので漢字表記でも間違ってはいないのですが、ひらがな表記のほうが読みやすかったり親しみやすい印象を持てます。
一般的なテキストでは、漢字3割ひらがな7割くらいの割合が読みやすいテキストとも言われていますが、確かに漢字が多いと硬い感じ、もしくは格式ありそうな感じになりますね。
(「よろしく」を「夜露死苦」と書いても格式ありそうとは思わないけど…(古い…))
扱うフォントの選択も含みますが、この割合でもデザインの表情(もしくはデザインの方向性)が変わってくるかもしれません。
(今の「フォント」にするか「書体」にするかでも)
特にキャッチコピーやヘッドコピー、タイトルなどの目立たせたいテキストは、確実にデザインに関わってきます。
「美味いラーメン」「旨いラーメン」「うまいラーメン」「ウマいラーメン」
「うまい」だけでこんなにバリエーションがありますが、言葉だけでもそれぞれがどんなラーメンなのか想像できそうです。
☆
「子ども」と「子供」に関しては、ちょっと違う要素が入っています。
「子ども」は「子供」で統一します 文科省「差別表現でない」と公文書で使用
ただし、公文書をデザインするわけではないので、広告宣伝などでは「子ども」のほうがソフトな印象がありますね。
☆
デザイン、レイアウトをしている時に、すべてのリード文を読むわけではありませんが、目立たせたいテキストには、ある程度の用語用法に気を配りつつ、臨機応変に表記(だけでなく言葉)を意識したいものです。