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語彙の増やし方:その1─間違えやすい慣用句①

131118

こんにちは。ディレクターの小林です。
さて、WEBディレクターに向けた、校閲・校正シリーズ9回目…の「語彙の増やし方 実践編」です。

実践編と銘打ってはいますが、
要するに「馴染みのない言葉こそ、積極的に覚えろ!」ってだけです。
でも、覚えたつもりが間違って使っていたら、恥ずかしい…。
と、いうことで、今回「間違えやすい慣用句」を取り上げました。

みなさんは、学校で慣用句を習った覚えはありますか?

私は、教科書に掲載されている題材の中に出てくるものが試験に出される程度だった…と
記憶しています。
勉強して覚えたのではなく、
新聞やテレビ、小説、または大人たちとの会話の中で聞きかじって覚えたものなので
「正しく使えているのか?」は、非常に怪しい。

言い間違えや誤用に後から気付き、恥ずかしい思いをしたことも…。

でも、そもそも「間違えて覚えている」と自覚がないので、なかなか矯正されない。
普段の会話の中で、他の人が間違えて使っているのに気付いても
注意などしないで、「ああ、こういう意味で使いたかったのかな?」と察してスルーしちゃいますもんね。

「慣用句なんて、難しい言葉使わないから…」と思った方!
いえいえ、慣用句を使わずにコミュニケーションをとるのは難しいぐらい、
慣用句はちまたに氾濫してますよ!

私が職場でよく使う慣用句は
「ちょっと、原稿に手を入れてから渡す~」とか、
「ここ、ちょっと間が抜けてない?」
「もうすぐ一段落つくから、ご飯食べに行こう」
あっという間に月末だ~!」などなど…みなさんも、よく使いますよね?
定型の言葉を使うことで、単語以上の状況や感覚を共有できる、とても便利な言葉!

慣用句辞典を端から端まで読む根気はないし…間違えやすいものだけピンポイントで確認したい!と
思っていたら、良いものを見つけました!

文化庁の「国語に関する世論調査」です。

文化庁の書面には、「間違った言い方」とは書かれておらず「本来の言い方ではない」となっています。
そもそも、慣用句は、「広く多く使われており、みんなが共通認識を持っている言葉」だから、
「本来の使い方ではない」方が蔓延すれば
そちらが「慣用句」として通じるものになる、ということで「誤」と断定しないのかな?

…いやいや。でも「本来の言い方」を知っている人の前で「本来の言い方ではない」言葉を使ったら
無知・常識がないと思われますよね!?
「本来の言い方」と「本来の言い方ではない」が逆転するのを悠長に待ってはいられません!
ということで、
慣用句の調査部分だけ抜書きしてまとめました。
みなさんも、間違えて使っていないかチェーーック!

 間が持てない  (29.3%)  間が持たない  (61.3%)
間違えている人の方が多い! あぁー…私も6割の仲間です…。すでに「間が持たない」の方が口に馴染んでしまっているので、「間が持てない」が正しいと知っても、とっさに使えなさそう。
頭に叩き込むために「間が持てない」の言葉の意味を考えてみたのですが、この場合の「持てない」は「取り持つことができない」という意味なのかも。「持たない」わけじゃなく、「持ちたくても持てない」と懊悩している状態。「間が(取り)持てない」と考えれば、言葉の言い回しも納得できますね。
 古式ゆかしく  (67.3%)  古式豊かに  (15.2%)
これを間違えてしまうのは「ゆかしい」の意味を知らない故でしょうかね。普段、日常では「ゆかしい」は使わないから…と一瞬思ったのですが、「奥ゆかしい」という言葉はよく使いますね。
 寸暇を惜しんで  (57.2%)  寸暇を惜しまず  (28.1%)
ちょっと言葉の意味を振り返ってみれば、間違うことはないと思うのですが…。寸暇(=ほんの少しの空き時間・休む間)も惜しんで熱心に励む」です。「寸暇を惜しまず」じゃ、「怠け者」といわれているようですよね…。
 声を荒(あら)らげる  (11.4%)  声を荒(あ)らげる  (79.9%)
これも間違えている人の方が多い! …私も間違えて覚えていました。「荒(あ)らげる」というのは「荒(あら)らげる」の誤用で、そもそも「荒(あ)らげる」という言葉はないようです。
 雪辱を果たす  (43.3%)  雪辱を晴らす  (43.9%)
拮抗していますね。これも、言葉の意味を振り返ってみれば、間違いは減るのではないかと。
「雪辱を晴らす」は、「雪辱を果たす」と「屈辱を晴らす」を混同しているのでしょうか。そもそも「雪辱」の言葉だけで、「辱めは雪(そそ)がれた」となっており、さらに「晴らす」必要はないのです。果たす(=やり遂げる・し終える)なので、「雪辱を果たす」は「辱めを雪ぎ終えた」という意味になります。
 舌先三寸  (23.3%)  口先三寸  (56.7%)
これも間違えている人の方が多い! 以前に友人との間で話題になったので「口先三寸」は間違いだとは知ってるけれど、多分未だに無意識に使ってしまっていると思う。
「舌先三寸」は「口先だけのたくみな話術」という意味ですが、この意味の中の「口先」が、「舌先」と混同してしまっているのだろうな~。
ちなみに「胸三寸」という言葉もありますが、こちらには「先」はつかない。「胸先三寸」は間違いです。
 食指が動く  (38.1%)  食指をそそられる  (31.4%)
う~ん? この間違いは、「食指が動く」と「食欲をそそられる」が混じってしまったのかな。これに関連して、「食指」を「触手」と間違えている人もいるらしいです。これは…間違えたらかなり恥ずかしい~!
 のべつまくなし  (42.8%)  のべつくまなし  (32.1%)
漠然と意味は分かる。でも自分の使う語彙には入っていない…。そもそも、ちゃんと語源を理解していないので使えないのだろうな。ということで、調べてみました。
【のべつ】=述べるの「のべ」に助動詞がついた状態で、絶え間なく続くさまを意味する。
【まくなし】=幕を引かないまま・絶え間なく。
同義語を重ねて強調した言葉と書かれていました。
「まくなし」を「くまなし」と間違えるのは、「くまなく」と混同してるのでしょうか? ちょっと意味も似ていますものね。
 物議を醸す  (58.0%)  物議を呼ぶ  (21.7%)
「かもす」という言葉は、もやしもんで認知度が上がったのではないかと思います。
「物議を呼ぶ」が間違いでも、「議論を呼ぶ」という表現は使いますよね…。物議=議論なので、これは間違えても致し方ない気もします…。
 二つ返事  (42.9%)  一つ返事  (46.4%)
これは、なぜ拮抗しているのか不思議意。「一つ返事」なんて聞いたことないのに、なぜ半数もの人が間違えるのか…? 「国語に関する世論調査」では「快く快諾すること」の慣用句を尋ねているので、普段「一つ返事」なんていわないのに、二つじゃ即答っぽくないから一つなのか!?と血迷ってしまったのでしょうかね…?
 取り付く島がない  (47.8%)  取り付く暇がない  (41.6%)
「島」は、頼れるもの・よりどころを表しているそうです。…これは、間違えた気持ちもちょっと分かる気がする…。
だって、江戸っ子は「し」と「ひ」は区別しないもの………。
 押しも押されもせぬ  (41.5%)  押しも押されぬ  (48.3%)
これも、正誤で逆転現象がおこっています。ながったらしくていつのまにか略されてしまったのか…? 類義語に「押すに押されぬ」という言葉があるので、これも混在してしまったのかもしれませんね。
 的を射る  (52.4%)  的を得る  (40.8%)
う~ん…これも僅差。でも「的を得る」って日本語として変。語源のシチュエーションを考えれば「的を射る」が正しいと気付けるのではないでしょうか。「当を得る」と混同したのかな?
分からなくなった時には、弓道を思い出すか、弓に矢をつがえるキューピッドを思い出しましょう!
 伝家の宝刀  (54.6%)  天下の宝刀  (31.7%)
戦国時代を想像すれば間違わないかも? シチュエーション的には「大事な決戦の際、殿様から下付された代々家に伝わる大切な刀を腰に挿して出陣」という感じで…。
 怒り心頭に発する  (23.6%)  怒り心頭に達する  (67.1%)
あ、ぁ…。間違えてると分かっていても間違えてしまう筆頭!!
私、絶対に“漫画的表現”が、この間違いを誘発しているのだと思うのです…。主人公が怒った時・恥ずかしい時に、アニメやマンガで、温度計のように赤い色がぐーって下から頭までのぼっていく表現方法がありますよね。…アレのせいで、みんな間違えて解釈してしまっているのだと…。
心頭=心の中で、本来は「怒りが心の中に生まれる」という意味です。心頭を「心や頭」と間違えて解釈し、さらに漫画的表現が追い討ちをかけたのではないでしょうか…。

 

いかがでしたか?
…私も、間違えて使っているものがありました。
記事を書きながら、自分のHPが削られました…。「HPが削られた」も、もう慣用句ですよね~。

しかし、頑張って独自解釈を書きながらまとめましたが、これ、直近3年分だけなんですよ…。
まだまだ、あるのですよ…。

いや、もう今回は無理。長すぎても最後まで読んでもらえないし!
ということで、続きます。
次回、「間違えやすい慣用句②」をお楽しみに~。
あ! 今回削られたHPは、次回までにチャージにしておいてくださいね!
また削られると思うから!

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~今回の記事を書くにあたってお世話になったサイト~

文化庁「国語に関する世論調査」http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/yoronchousa/

言語由来辞典http://gogen-allguide.com/

故事・ことわざ辞典http://kotowaza-allguide.com/

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