株式会社マックグラフィックアーツ

MGAスタッフブログ - マックグラフィックアーツスタッフの不定期ブログ

IAできるかな 第2話:「とりあえずみんなで考えよう」から抜け出したい

ある日の企画・提案のミーティング時の風景。

ある日の企画・提案のミーティング時の風景。

どうもどうも、インフォメーションアーキテクトの宮内です。

エントリータイトルに「第1回」と銘打ってしまったが為に、話を続けなきゃいけなくなっていることを微妙に後悔しつつ、第2回を粛々とお送りします。

さて、前回は産技大の履修証明プログラムへの参加で気付いた「みんなで考える」ということの必要性について書きましたが、今回はそれ以前に弊社の中にあった「みんなで考える」という文化とそれが抱えていた問題について書きたいと思います。

企画・提案を全員参加で

さて、マックグラフィックアーツの仕事の進め方の中で、(おそらく)他の制作会社と比べてだいぶ変わっていると思っている点が一つあります。

それは提案時に関して、です。実は弊社、
クライアントにサイトやコンテンツの企画・提案をする際、それを関わるスタッフ全員参加で行ってます。

ある程度の規模の会社では営業やプランナーの方が1人で行うという話も耳にしたことがありますが、
弊社の場合は、ディレクター・デザイナー・マークアップエンジニア・Flashエンジニア、先輩・後輩・ベテラン・若手etc、…といった肩書き・先輩後輩関係なく、その企画・提案が通った場合に関わることになるであろうスタッフ全員で企画・提案をスタートさせています。

これは何も自分がそういう進め方にした、といった話ではなく、少なくとも自分が入社した頃(2006年)から既にそうでした。いつから始まったものかは分かりませんが、マックグラフィックアーツならではの文化だと思っています。

サイト制作の仕事は何かと分業になりがちで、ウォーターフォールと呼ばれるような仕事の流れの中で、与えられた領域の仕事を淡々とこなすイメージがありますが、それに対して立場の違い関係なく初期の工程から関わるサイトの企画提案に関われるということはなかなか無いと思うのです。たぶん。

「時間かけ過ぎ!」問題

ただし、この進め方には1つ大きな問題がありました。

それは、
「とにかくめちゃくちゃ時間が掛かる!!」
ということです。

様々な立場の人が、それぞれの視点でユニークなアイデアを出し合う一方で、ミーティングが迷走することが度々ありました。思い思いのアイデアが沢山でるものの、それを収束させるのがものすごく下手で、なかなかまとまらない。

ある程度まとまりかけていた企画が、1人の指摘で突然ひっくり返ったり、振り出しに戻ることもありました。これがコンペだったりすると、時間を掛けるだけ掛けたのに、採用されないなんてこともある訳です。

前回「みんなで考える」という話を書きましたが、「複数の視点で物事を考え検証する」という文化はこのように弊社に元々あったものの、どうも上手くいってない感がある……。いや、最終的に出来上がる提案はお客さんに評価していただく事が多く、ある程度のクオリティには達しているとは思うのですが、どうも段取りが下手と言いますか…。

以前から社内で課題としては認識されていた話ではあるのですが、産技大の履修証明プログラム受講以降改めて検証してみると、幾つかの問題点が見えてきました。(だいぶ初歩的な問題多めですが)

「ユーザー視点で考える」ってそのユーザー誰よ問題

「ユーザーはそういうことを望んでないんじゃないかなー」
「いや、ユーザー視点で考えると…」
「自分がユーザーだったらそんなことはしない!」

…と、ミーティングで度々「ユーザー」という言葉がもっともらしく出てきがち。
その「ユーザー」が何者なのかがそもそも怪しい。大抵、「ユーザー」の名を借りた「自分の考えの代弁」だったりします。

ミーティングやお客さんへのヒアリングを重ねることで、その「ユーザー」が何者であるかは、徐々に調整されていきますが何だかだいぶ遠回りをしている気がします。

枝葉の話で盛り上がりがち問題

まだアイデアのブレスト段階だというのに、細かいビジュアルであったり演出だったり、UIの作り込みに関する話になりがちです。

そして、

  • 大抵そういう話題は盛り上がりがち
  • 時間がいつの間にか過ぎがち
  • 「そもそも何を話してたんだっけ?」

……になりがちです。

各々思い描いているものがバラバラ問題

さきほどの「ユーザー」の話もそうですが、てっきりコンセンサスが取れていると思っていたことが、人によってバラバラで、それの調整に時間がかかりがち。

基本的には口頭でのやりとりがミーティング中続くが故に、そのやりとりのなかで出たアイデアが何か目に見える形でその場で提示されるのでは無く、ミーティング後議事録といった形でまとめられるため、ミーティングをやっている最中、どのようなプロセスを経てアイデアが固まってきているのかがちゃんと共有されないまま進行していることが希にありました。

デザイナーに急に丸投げ問題

ようやくサイトの構成や、各画面に必要な要素が固まりつつある段階で、

  • 急にデザイナーにカンプ作成を投げようとする
  • こんな状態でできるか!
  • いやでも時間がだいぶ掛かっちゃってるしそろそろ形に…
  • いやできるか!

……みたいな展開になりがち。

前述の通り、何かと時間が掛かっていて、そろそろ提案を提出するまでの時間も残り少なくなると、焦りが生じてこんなことになりがちでした。そして、大抵の場合ミーティングは続行になります。

提案がまとまるまでの段取りが見えない問題

こんな具合で進行するが故に、「いつまでに誰が何をすれば良いか」見えないまま検討を繰り返すことになります。…が、もちろん他の案件や作業も同時に進んでますから、そんなに潤沢に時間を投下する訳にいかず、不安と焦りが募るばかりになりがち。

弊社IAなりにできることって何だろう

……と、ここまで問題点を挙げておいて、これでよく企画・提案がまとまってたね……と自分の会社のことながら思ってしまう訳ですが、何もずっとこういう状態だった訳ではなくこういった問題は徐々に改善されてきていました。

ただ、もっと抜本的な解決はできないものか、個人的にずっと考えていました。

そして、産技大の履修証明プログラム受講後、「インフォメーションアーキテクト」という立場からこの企画提案のプロセスを改善できないものか、いろいろと試みることにしました。

そして、その試みは少しずつではありますが成果を出しているかなと思っています。
また、まだ行動には移せていないものの、この会社の「インフォメーションアーキテクト」としてどのように立ち振る舞えば良いのか、少しずつ見えてきた気がします。

具体的にどんなことをし、どんなことをしようとしているのか…………についてはまた次回。
(第3話:「3種の神器?と座って考えない話(仮)」……につづく)