どうもどうも、インフォメーションアーキテクトの宮内です。
実は「インフォメーションアーキテクト」(以下IA)という肩書きになってから2年経ちました。
元々はマークアップエンジニアとして入社したのですが、ディレクション方面の作業を勝手に手伝っていたら、実装とそれ以外の仕事が半々くらいの状況になり、エクセルとパワポとにらめっこして終わる日も続き、じゃあいっそ名前変える?………みたいなノリで現在に至ります。
ちなみにIAになると社内に発表があったその日、当の本人は風邪で寝込んでました。嗚呼…。
IA何よ、IAっぽいって何よ
現在の仕事内容はざっとこんな感じです。
- コーディング、および制作の進行管理
- 打ち合わせの議事進行、議事録作成
- アクセスログ解析、レポート作成
- 企画・提案に関する諸々のファシリテーション、および提案書の作成
- サイトの情報設計全般とサイトマップ・ワイヤーフレーム等々のドキュメント作成
後半がIAっぽい仕事内容といえばそうなのですが、ただ、IAとして専門的な勉強をしていた訳ではないですし、あくまで自己流でIAっぽい仕事をやっているだけでその手法が正しいものかどうか自信が持てず、しばらくはこの肩書きには慣れないというか、躊躇する気持ちがありました。
どういうお仕事されてるんですかって聞かれて、「いやー、ただの体の良い雑用ですよー」なんて誤魔化すこともしばしば。
IAに関して、本やセミナーで断片的に知り得た手法を自分なりの解釈で仕事で使ってみるものの、「本当にこれで正しいのだろうか」という不安感が常にありましたし、自分にとって身近に「お手本」となる人がいない、身近なケーススタディが存在しない、みたいな問題もありました。あるのは、本やセミナーで見聞きした話の記憶の断片だけ。…………、そりゃもう、困りました。
大学へ行ってました
この状態をずっと続くのは拙い、どうにかしないと、と思っていた頃、知りあいの紹介で産業技術大学院大学の履修証明プログラム(人間中心デザイン)の存在を知り、2011年の10月から今年の2月頃にかけて受講してました。(※単位が足りず、先日まで一部再受講してましたが……)
IAのみならず、人間中心デザインと呼ばれる考え方やそれに類する手法について、体系的に基礎から学ぶ機会はこれしかないと思い、またこういう場に参加すれば、実際にこういった手法を現場に取り入れようと試行錯誤している人達に会って話せるんじゃないか、という期待もありました。
「みんなで考える」ということ
履修証明プログラムの授業の大半はグループワークで、実際に手を動かしアイデアを出し合いながら、様々な手法を身を以て学ぶ機会がありました。このグループワークが個人的にとても意義のあるものでした。
それは、単に手法を覚える・理解するという意味だけでなく、「グループワーク」という点で。
それまで、あるプロジェクトにある分野におけるプロフェッショナルが1人いさえすれば、その人に任しさえすれば、全てが上手くようなイメージがありました。チームプレー、よりも個人プレー、というか。
それはIAに対してもそうで、サイト全体の構成を考え、導線を考えて、画面上に必要な要素を洗い出して、ワイヤーフレーム書いて………を一人で淡々とこなすイメージが何となくありました。
さっきから何かと、自信がない自信がない、と書いてましたが、なんで自信がないかといえば「自分一人で考えて、それをドキュメントに一人でまとめているから」なんです。
自分が思い描いているユーザー像がとんだ見当違いだったら? そもそも前提となる情報の解釈が誤っていたら? 作り手にとって都合の良いユーザーシナリオになっていたら?それを指摘してくれる人がなかなか現れなかったら?
それがグループワークだと、いろんな人の視点でアイデアが付箋に書いて出されて目に見える形で共有されることで、そのアイデアがその場にいる人達にとって検証可能なものになります。そこでディスカッションを重ね、検証と調整を繰り返すことで、精度の高いペルソナやシナリオやプロトタイプが出来ていく……はずなんです。
………て何?大学にまでいって学んだことがそもそもそういう話?…って感じかもしれませんが、自分一人で何か精度の高い成果物を出そうとするのではなく…ってことは、自分にとっては大きな発見だったんです。
付箋にアイデアを書き出して、並べ替えて、俯瞰してグルーピングして、ペルソナを作って、ユーザーシナリオを考えて、ペパープロトタイプ作っては直し作っては直し……をグループのメンバーで何度も何度も繰り返すことで、1つのサービスのプロトタイプが出来あがるのを経験して、「自分一人でどうにかしないといけない」という考え方は少なくとも覆ったと思います。
次回予告
まずは自分だけの視点で進めず、複数の視点で物事を考え検証する。そのためには、付箋や模造紙といったアナログなツールを使って、自分たちの頭の中にあるアイデアを書き出し、可視化することで検証・整理可能なものにする。
履修証明プログラムを受講後、会社に確実に持ち帰ることができたのは「みんなで考える」というツールと作法だと思っています。
そして、それはマックグラフィックアーツという会社の文化と相性の良いものでした。
なぜ相性が良かったのか、そして、それを踏まえて自分はどう立ち振る舞うつもりなのか、それはまた改めて……。(第2話:「そもそも弊社にIAは必要なの?」の巻(仮)…に続く)