マックグラフィックアーツ 製菓部部長の合志です。
「お菓子作りは混ぜる技術」って昔どっかのシェフが言っていました。ホントそのとおりだと思います。料理とかお菓子作りって、突き詰めると化学反応だったりするんですけどね(実はこうみえて理系)。
|■|レシピ本の手順通りに作ってはいけない
お菓子は計量が命です。レシピ通りに計量してレシピ通りの順序で作ればそれなりのものはだれだってできます。もちろんポイントポイントでコツはありますが、大概の失敗は計量がいい加減か手順をすっとばすその「こんなもんでよくね?」感によって引き起こされます。
これ、料理はできるけどお菓子作りは経験が少ないヒトがやってしまいがちなことです。料理とは根本的に成果物に対するアプローチ方法が違うんですよね。料理はスパイラル型ですが、お菓子作りはウォーターフロー型なわけす。ただ、記載されている全ての材料を計量してから作業を開始していてはムダな時間が多すぎます。
そう、まるでムダの多いWeb制作現場のようにね。(うまいこと言った感、、、)
<カプリ風トルタ の場合>
さて次のようなケーキを作る場合を例にして見てみましょう。
「カプリ風トルタ」12cmの丸型3台分
(参考書籍:入門イタリア菓子―家庭で作れる「プロ風味」)
- セミスイートチョコレート 150g
- バター 150g
- ココアパウダー 50g
- 卵黄 4個分
- グラニュー糖 80g
- 卵白 4個分 (メレンゲ用)
- グラニュー糖 80g (メレンゲ用)
この材料に対して、以下の様な手順が記載されています。
(事前準備)バターを室温に戻す・オーブンを170度に温める・型にベーキングシートをしく
- チョコを刻んで湯煎で溶かす(60度以上にならないように注意)
- 溶かしたチョコにバターとココアパウダーを加え混ぜ合わす
- 別のボールに卵黄とグラニュー糖を加えリボン状になるまで混ぜる
- さらに別のボールで卵白とグラニュー糖を立ててメレンゲを作る
- 3を2に加え混ぜ合わせる
- 5に4を加え混ぜ合わせる
- 型に流し170度で40分程度焼く
- 網の上において覚めたら粉糖をふりかける
さて、このレシピ。みなさんならどういう手順で作りますか?
何度も作って手順を理解してるので、僕なら次の様な手順で作業します。(事前準備は除きます)
- 湯煎用のお湯をわかす
- チョコを計量して刻み、湯煎にかける
- 玉子を卵黄と卵白にわけ、卵白は冷蔵庫に戻す
- バターを計量して溶けたチョコに加える(湯煎にはかけたりおろしたり適宜温度調節)
- 卵白に分量の1/3のグラニュー糖を加えミキサーに高速でかけ始める
- 4にココアパウダーを加え混ぜ合わす(溶かしながら30度台くらいに温度を下げる)
- 5の卵白が立ち始めたら次の1/3のグラニュー糖を加える
- 別のボールで卵黄にグラニュー糖を一度に加えて泡立て器で立てる
- 7の卵白のツヤがなくなりかけてきたら残りの1/3を加えメレンゲを仕上げる
- 6にリボン状になるまで立てた8を一気に加え混ぜる
- 10に9を3回位に分けて加え、最終的に均一な生地になるまで混ぜる
- 型に流し込んで170度のオーブンで焼く (冷めたら粉糖をふりかける)
いかがでしょうか?
引用したレシピと実際の手順ではずいぶんと手数が違いますし順序も違います。だってまず玉子が卵黄と卵白に分かれてる家庭なんてないでしょ?
卵白と卵黄の性質の違い。チョコレートの温度管理の理由。メレンゲを作るときにグラニュー糖を3回に分けて加える理由。実際に作った経験から来ているもの、製菓の知識から来ているもの、それぞれの理由はありますが効率よく短時間で作業が終わるように考えた結果です。
|■|時間を短縮する技術
料理やお菓子作りの作業時間を短縮する要素はそんなに多くありません。
- 素材の性質を理解する
- 優先順位を決める
- 並行して作業する
そんなとこでしょうかね。これ、実はWeb制作だけでなくいわゆる仕事のコツと同じわけです。
- 素材の性質(作業内容:デザイン・コーディング・プログラムなど)を理解する
- (作業期間・手順に合わせて)優先順位を決める
- 並行して作業する(他の人に振る)
これらを正しく理解し、段取りを考え、適所に適材をアサインする。それができていないとWBS(Work Breakdown Structure)は立てられません。逆に、経験と人の意見も取り入れて綿密に作られたWBSであれば、あとはそれにそって作業の進行を管理していくだけ、ともいえます。
正しいレシピだけではなく、それに適した人員のアサインと作業の段取りを考えて進めることで、おいしいお菓子もできるし、役に立つサイトも作れるというものです。「こんなもんでよくね?」ではよいサイトも作れません。
以上、制作の段取りにかこつけたレシピ紹介でしたwww ちなみに出来上がりはこちら→になります。薄力粉を使わない濃厚なチョコレートケーキのレシピなので、砂糖を入れない生クリームを添えてもおいしいですね。
※本文中の手順の意味、作業のコツ、おすすめの材料などご質問お待ちしてます♪