おひさしぶりです。
インフォメーションアーキテクトの宮内です。
前回の記事からだいぶ空いてしまいましたが、今回は一冊の本をご紹介したいと思います。
一応お仕事にも関係する話で始めますが、正直ほぼ趣味の話です。予めご了承ください………。
Web制作の仕事の中で、サイトを訪問するユーザーがどのような人物なのかを様々な手法から推測することがあります。
インタビューやアンケート、アクセス解析等々、様々な素材を元に、最終的にはペルソナのような形式で人物像をまとめていきます。(IAできるかな 第4話:「自分たちに都合の良いユーザー」とのつきあい方)
そんな様々な手掛かりを元に人物像をリアルに浮かび上がらせる、……という点において、似た(というかそれ以上の)面白さを感じたのが今回ご紹介する「有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか 絶望を笑いに変える芸人たちの生き方」という本です。
著者の「てれびのスキマ」さんは、同名のブログでたびたびテレビ関連の話題のエントリーをアップされるブロガーで、最近お勤めになっていた会社を辞め「テレビっ子」の肩書きでライターとしての活動をスタート。「有吉〜」や「タモリ論」といった話題の著作を発売された他、様々な媒体にも寄稿されています。
タイトルを一見すると、お笑い批評や本人へのインタビュー、ないしはゴシップ本的な内容を想像される方も多いかと思いますが、いずれも全く違います。
批判的な内容も無ければ、本人へのインタビューや取材も無し、ゴシップ的な内容すらありません。
テレビのスキマさんは、ブログから一貫して、その対象となるタレントや芸人、ないしは周囲の人々のテレビ・ラジオ番組やインタビュー記事での発言、そして本人の著作からの細かい引用を組み合わせながら、当人の人物像を立体的に浮かび上がらせるという手法を採っているのです。
この本では、タイトルにもある有吉弘行の他、7人(組)の芸人達が取り上げられていますが、今回も同様の手法を用いています。
よくWeb系のニュースサイトの記事で、芸能人のソーシャルメディアを引用し、それに煽り気味な見出しをつけているものがありますが、そんな安易なものではありません。
とにかく引用が細かく、カバーしている時間軸もメディアも幅広い!
各章の末尾にある引用元を見るだけでも、異常な手間と時間が掛けられていることが容易に想像できます。
このような手法で、引用と推測を積み重ねながら毎回その人物に関するある仮説が提示されます。それが正しいかどうかは分かりません。ただ、それに至るまでのプロセスが非常に丁寧なため、説得力のあるものとなっています。
そして、その人を批評するでもなく、評価するでもない、ただただ対象となる芸人がいかに面白い存在であるかを伝えようとするパワーに満ちています。オススメです。