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MGAスタッフブログ - マックグラフィックアーツスタッフの不定期ブログ

天才の目に映る世界と日常(映画「夢と狂気の王国」を見て)

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タコライス、気になります。

インフォメーションアーキテクトの宮内です。

IAがUIがどうのこうの、あーでもないこーでもない……的なエントリーがしばらく続きましたので、たまには最近見た映画の紹介でも。結構公開から時間が経っちゃいましたが。

ガンを宣告された自分の父親の姿を追い続けたドキュメンタリー映画「エンディングノート」で昨年話題となった監督 砂田麻美さんの最新作「夢と狂気の王国」を見てきました。

前作に引き続きドキュメンタリー映画なのですが、今回の題材はあのスタジオジブリ。
砂田監督が1年間ジブリに通い続け、撮りためてきた映像で構成されたドキュメンタリーです。

宮崎駿さんを中心に、それを取り巻く人々(プロデューサーの鈴木敏夫さんはもちろん、宮崎吾朗さんもかなり重要なシーンで登場します)の「風立ちぬ」完成まで出来事を淡々と、かつ、丁寧に収めた作品です。

ジブリを題材としたドキュメンタリー作品はこれまでも幾つかありましたし、先日もNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で宮崎駿スペシャルが放送されたばかりですが、これらのドキュメンタリーと明確に違うと感じたのは、ひたすら「ジブリの日常を切り取る」ことに重点を置いている点です。

まずナレーション(砂田監督自身による語り)が必要最低限に抑えられています。途中、スタジオジブリの成り立ちや宮崎駿監督と高畑勲監督の出会いなどのシーンでナレーションは入りますし、監督自身がジブリの面々にインタビューするシーンもありますが、何か観客に作り手の解釈を提示したり強調するようなものは少なかったように感じました。

また、何か煽るような演出もありません。基本的にはジブリ内の一日を淡々と記録した映像で構成されています。

…なので、ドラマチックな展開や、いままで見たことの無いスタジオジブリの内幕、的な物を期待するとかなり肩すかしを食らうことになるかと思います。

逆に「ジブリのなかではどういう空気が流れているのか」「ジブリの日常はどういうものなのか」を知りたい、体感してみたい、人にとってはたまらない作品ではないかと思うんです。

作業机やパーテーションに貼られた落書きっぽい張り紙、スタッフ同士のやりとり、宮崎監督や鈴木プロデューサーの何気ない(でも結構ストレートな)政治に絡んだ会話、ジブリの近くに街頭演説に来た某議員の話に誰も耳を傾けようとしない様等々。

砂田監督のカメラに収められた映像で構成されているが故に、ジブリに居候させてもらっているような感覚すら感じました。

上映されている映画館もかなり少なくなってきましたが、ジブリ作品が好きな人というよりも、ジブリという「場」に興味がある人にとっては間違いなく観る価値のある映画だと思います。オススメです。