こんにちは、ディレクターの橘田です。
先日友人と伊豆・伊東に遊びに行きました。
目的は、温泉&花火&おいしい魚(そしておいしいビール)です。
暑さに負けて観光らしい観光をする気力もなく、帰りの電車までの時間つぶしに、とふらっと立ち寄ったのが「東海館」でした。
東海館は、昭和初期に建てられた木造3階建ての温泉旅館。
現在は、伊東市指定文化財として観光施設となっています。
ボランティアガイドの方が丁寧に案内してくれて、とても有意義な時間になりました。
創業者の稲葉安太郎氏が材木店を営みながら、国内外の高級な木材を集めており、この旅館ではそれらの形や木目などの美しく質の良い木材などがたくさん使われています。
昭和13年頃に建築された部分では3人の棟梁を各階ごとに競作させたこともあり、廊下の飾り窓や階段の手すりの柱などにそれぞれ違った職人の技と凝った意匠を見ることができます。
他にも、玄関の豪快で力強い彫刻や書院障子の組木のデザイン、照明器具などもみどころです。
引用にもありますが、もともと材木を扱っていた人が作らせたことから、ものすごい太い木を惜しげもなく床板に使ってたり(板1枚当たりの幅が広い!)、床の間以外の木も凝ったものを使っていたり、とにかく凝ったつくりのお部屋たちでした。
120畳の大広間には巨大な木彫レリーフもありました。
ガイドの方いわく、ひと部屋ひと部屋それぞれデザインが違うが、1階から3階まではコンセプトが違い、1階が日本間の基本に忠実、2階・3階と上るほど、柔軟なデザインになっていくとのこと。
(柔軟とはいえ、私なんかがみると十分硬派な日本間ですが)
デザインの硬軟だけでなく、使われている木材も、1階は樫や黒檀などの堅い木、上に行くほどやわらかい木(桜など)を使っているそうです。
もちろん床から天井まで、すべて無垢の木材。
今の時代では考えられない贅沢仕様!
その中でも特に気になったのは、床の間や仕切りの組木デザイン。
美しい細工がたくさんありました。
◆ 亀甲系
複雑な亀甲柄。欠けてるのが惜しい。
欠けてなかったらもっとみっしりした印象だったかもですね。
(右側はわりと残ってますね)
同じ亀甲でもちょっとかわいい印象。
角でなく「辺」で仕切ってるからでしょうか。
丸みを感じます。
◆ 松葉系
縦と横のW松葉の組み合わせ。
お好み焼き屋さんの最後のマヨソースとか、こんな感じになってますね。
松葉の下が亀甲(かわいい)です。
こうしてみるとお花っぽい。
◆ 菱型系
菱形をベースにした複雑なバリエーション。
同じデザインが4つ集まっておおきな菱型になって複雑さが増してく感じがたまらんですね。
◆ 直線系
遊びの少ない、かっちりシンメトリー。(1階のもの)
少し中華系の印象もあります。
上と同じく、一見直線が多くて堅い印象ですが、立ち位置を変えて見ると、隣り合う木がつながって、円柱シルエットのように見えて印象が変わると解説してもらいました。
写真の右端のほうにその現象が起きてます。
(3階のもの。この辺の遊び心が、3階デザインのやわらかさなのかも)
◆ 海系
静岡ならでは。
富士山と小さな帆掛け舟と松原(かな)。
とりみたいに見えますが、海の上の船です。
意外と富士山モチーフは少なかったです。
こちらはすっきりシンプルな大きな帆掛け舟メイン+波。
少ない曲線だけで船に見えるの、すごい。
投網ではなく、海辺で漁に使った網を干しているところだそうです。
漁師町での、生活密着図柄なのだと思われる。
周りにあるのは波です。
大広間の欄間に波千鳥。
細かい波も小鳥もかわいい。
組み木だけでなく、廊下に遊び心があったり、展望部屋から海が見えたり、ほかにもいろいろ、とてもすてきな建物でした。
今でもボランティアの方が毎週床や階段を磨いているとのことで、どこもつやつやときれいに光っていました。
やっぱり手入れって大事ですね…。
1点、惜しいのは、それぞれの説明が少ないこと。
私達はたまたま居合わせたボランティアガイドさんが案内してくれたので、いろいろな詳しいお話を聞けて、とてもおもしろかったのですが、自分たちだけで回っていたら、気づかない点がたくさんあったかも…。
というわけで、伊東にいくならハ●ヤ♪ もいいけど、東海館もいかがでしょう?
観光地によくある、○○ミュージアム系より地味ですが、古きよき日本を感じられますよ。
(ぜひガイドさんを捕まえていろいろお話を聞いてください)
#古い旅館ゆえにエアコンは玄関回りにしかなく、灼熱の中の見学はちょっと体力が要りました。
エレベーターなども当然ありません。
☆ おまけ
もちろん伊東グルメも堪能しましたよ!
左から、わかばのコーヒーゼリーソフトクリーム、寿々丸の寿司、鯵のまご茶漬け。
どれも感動的においしい!またたべたい!!
花火も高台からの見物でしたが、きれいでした!